北の焼肉聖地、北海道北見市では、街中に畜肉加工場があったことから市民にホルモン焼肉が広まりました。 牛肉を食べる時代になってもホルモン文化が根ざす北見では、カルビではなくサガリを好んで食べる、サガリ大国に発展しました。
鮮度が良いから根ざした北見のホルモン焼肉。下味なしで味わってください。
発祥当時から変わらない炭火と七輪の組み合わせ。七輪の使い方で、焼肉経験がわかります。
味付けがされない北見焼肉の味の仕上げは生だれと塩こしょう。どちらの味もしっかり満喫を。
焼肉を愛する市民、北見市民のほぼ誰しもが認める北見焼肉のスーパースター兼超定番メニュー。メジャー焼肉であれば「とりあえず牛タン」と発せられる第一声だが、北見の場合はそれとは異なり「とりあえずサガリ」なのである。もともと豚内臓系を中心に食べていた北見市民が高度成長期の牛肉普及によって選んだ部位は、牛カルビではなく、やはり内臓肉であるこの牛サガリ。市民の誰しもが愛する牛サガリを、生だれで食べるのが北見焼肉の基本スタイルである。
北見焼肉の歴史発祥から今も変わらず愛され続ける豚ホルモンは、北見焼肉のアイデンティティ。鮮度維持や洗いなど、一見シンプルではあるがその仕上がりを支える技術は焼肉店、精肉店の努力の結晶でもある。好みのホルモンが売られている「マイ精肉店」的なお肉屋さんを持つ人も多く、北見市民の豚ホルモンこだわりは並大抵ではない。焼き方も、ふんわり派やカリカリ派など諸派あり、そのこだわりを披露する様子は焼肉店での定番でもある。
北見焼肉発祥から北見焼肉を北見焼肉たらしめた、通称「生だれ」。その所以は、果物類やねぎ類をふんだんに使い、つくったタレを加熱せずに数日間熟成するというもの。フレッシュでまろやかな香りをそのまま肉とマリアージュし、どんな肉でも美味しくまとめ上げるこのたれを、各店が切磋琢磨することでさらに磨きをかける。生だれがある限り、いつでもどこでも北見焼肉を再現しうる、まさに北見焼肉の神器である。
日本随一の農業地域でもある北海道北見市。その中でも日本一の生産量を誇る玉ねぎが北見焼肉にも完全に浸透しているが、根ざしているのはたくさんとれるから、という理由だけではない。北見地方産玉ねぎは、水分量が少なくがっちりと身が締まった玉ねぎであり、焼き上げることで、時にほっくりと、時にシャッキリと、甘みとともに最高のコントラストを焼肉に与えてくれる。また、水分量が少ないからこそ年間を通じた保存と流通が可能であることから、いつでも手に入るという流通上の背景がある。北見市民へのアンケートでは、焼肉のお供第一位となる、相変わらずの名脇役である。
一見謎のメニュー名だが、実は読んで字の如く、目玉焼きが丼に収められた、北見焼肉しめの定番メニュー。全ての店舗にあるわけではなく、深夜まで開店している老舗焼肉店の「ご当店メニュー」でありながら、あまりの美味しさと馴染みやすさから「シメの目丼」として文化として根ざし、他店舗でも提供されるようになっていった。美味しさの秘訣は、トロッと、フワッとした絶妙な卵の食感に絶妙に合わせられる炒めた醤油の香り。時には、1軒目で焼肉を食べたのに、3軒目で目丼を食べに焼肉店に、という珍事の発生も、実は北見市民あるあるなのである。